2025年度 勉強会

第1回 2025年2月12日 テーマ『被相続人が認知症であるその長男Aが、売主として本件土地等の売買契約を
締結し、その後、引渡し前に相続が発生した事例について』
(2022年10月4日裁決 熊本国税不服審判所 熊裁(諸)令第1号)
本件は、重度の認知症である親に無断で、その子が土地等を売却した後、引渡し決済前に相続が発生した事例です。
近年では、実務上もこのような事案を目にすることは少なくないのかもしれません。
本事例では、主に①売買契約の有効性と②本件相続税の課税価格に算入すべき財産(本件土地等(通達に戻づく評価額)か
本件売買残代金請求権か)について議論が行われました。
そこで今回は、この事案の概要(論点)を把握するとともに、今後の 実務での注意点など、についてみなさんと検討いたしました

第2回 2025年5月13日 テーマ『原告であるJR西日本が所有している鉄道高架下の土地について、
その土地上にある建物を所有及び占有している被告に対し、建物収去及び高架下の明け渡しを求めた
裁判例について』
(2021年12月9日判決 神戸地方裁判所 認容 控訴)
本件は、昭和13年に国(国鉄)が神戸市に対し、 一帯の高架下の土地を歩道敷として使用承認したことに端を発して います。
その後、太平洋戦争終戦後、同歩道敷には「闇市」 が建ち並ぶこととなり、神戸市は当時の社会情勢に鑑み、 道路敷を一時的に闇市に
使用することもやむを得ないとして、 闇市を営む者に対し道路の占有を許可しました。
もっとも、 国及び国鉄は闇市への道路占用許可は不適切であると考え、 神戸市に本件高架下の返還を求めるようになりました。
このような経緯を経て、 前記の通りJR西日本が建物を所有及び占有しているものに対し、 明渡しを求めた事案です。
そこで今回は、この事案の概要(論点)を把握するとともに、今後の 実務での注意点など、についてみなさんと検討いたしました

第3回 2025年7月15日 テーマ『不動産特定事業法に基づく、小規模不動産特定共同事業』について
小規模不動産特定共同事業とは、『有志で資金を出し、 小規模な不動産の活用を促進するような事業を行いやすくするため に創設された制度です。』
平成29年の不動産特定共同事業法の改正により、 あらたな枠組みとして創設されたものです(言い換えると、 国交省管轄の"ミニミニファンドのよう
なもの" とも言えそうです)。
実は私、当時からこの事業について興味を持っていました。 主な理由は二つ、①当該事業スキームに関わるプレーヤーへの継続的な業務提供
(法務、税務、不動産鑑定、PMなど)、②不動産事業としての出口戦略(流動性の向上など)です。
そして、昨年ようやく、弊社セイワ不動産鑑定株式会社は、 小規模不動産特定共同事業者登録を行いました。
登録にあたりましては、 行政書士高木先生にお力添えをいただきました( ありがとうございました)。
そこで今回は、小規模不動産特定共同事業の概要と現在弊社で事業実施を計画しております「(仮)SREA-1号事業(川崎市内の月ぎめ駐車場
予定地)」について、 菊地からご説明させていただきました。
検討・解説後に、第3火曜会のみなさまの専門家としての知見に基づく、忌憚のない フィードバックをいただきました。

第4回 2025年9月16日 テーマ『土地使用貸借の目的達成による終了』について
本件は、父Aの土地上に、Aと長男Yの共有建物が存していたところ、Aの相続発生により、Aの土地所有権とAの建物共有持分は遺言に基づき二男
Xが相続した。本件土地所有権取得に伴い、本件土地使用貸借契約上の貸主の地位を承継した二男Xは、長男Yに対して、本件土地使用貸借契約を
解除する旨の意思表示をして、本件建物を収去し本件建物を明け渡すよう求めた事案である。
不動産実務上、親の土地の上に親と子の共有建物が存している実例は多いと思います。またこの場合の、当該建物の土地使用権限は使用貸借であ
ることがほとんどではないでしょうか。使用貸借、共有は使い勝手が良い反面、将来リスクが潜在化しています。特に相続人が複数存在する場合
には、リスクが顕在化することがあります。
そこで今回は、使用貸借、共有の将来リスクについて、本件裁判例を通して解説・検討いたしました。
また、検討・解説後に、ご参加のみなさまから、専門家としての知見に基づく、忌憚のない フィードバックをいただきました。